思考の7段階

会社の課題を1つ入れると、同じ課題を7通りの深さで並べ直して返します。 最初に出た結論へ一直線に進む前に、抜け落ちた視点を強制的に供給するための道具です。

01会議で起きていること

「売上を上げたい」と言えば「営業を強化する」が出ます。 「改革が進まない」と言えば「あの部長を外す」が出ます。 会議はそこから一直線に進み、どう実行するかの話になります。

問題は、その結論が間違っていることではありません。 実際、正しいこともあります。問題は——提携も、価格も、粗利率も、チャネルも、 リピートも、人事も、工程改善も、比較される前に消えていることです。 消えたことに誰も気づきません。最初の一言が速すぎたからです。

この道具は、その消えた選択肢を機械的に並べ直します。 そして最後に、「今回はどの段で決めれば十分か」を返して止まります。

02すること・しないこと

すること

  • 同じ課題を7通りの深さで並べる
  • 最初の結論が置いている前提を、名指しで出す
  • ほかに取れる打ち手を5〜8個、横並びにする
  • どの段で決めれば十分かを1つ選んで示す
  • いま深追いしなくてよいことを明言する

しないこと

  • 答えを決めること(決めるのは人です)
  • 「もっと深く考えろ」と言うこと
  • 御社の数字を持ってくること(入れた材料がすべてです)
  • その場で即答すること(1回およそ80秒かかります)

03七つの段

1 第1段 反射

考えずに即座に出る答え。現場が最初に口にする結論そのもの。

2 第2段 気づき

課題の裏で実際に何が起きているか。現象と数字を押さえる。

3 第3段 論理

原因から対策までを一本の筋で通す。反射の結論を正しく組み立て直す。

4 第4段 批判的思考主役

前提そのものを疑う。「その原因は本当か」「別の要因は」「データはあるか」。最初の結論を崩しにいく。

5 第5段 自己意識的思考

判断する側のクセを疑う。「自社が営業に強いから営業で解こうとしていないか」。

6 第6段 全体像の思考主役

課題を構造で捉え、打ち手を網羅的に横並びにする。1つの結論ではなく、打ち手の地図を出す。

7 第7段 戦略的思考

時間軸で判断する。急ぐなら下の段で即決してよい、という判断もここでする。

※ 画面では、下の段ほど広い階段として、第1段から順に下から点灯していきます。

04なぜ第4段と第6段が主役なのか

第4段:崩せなければ、何も起きない

「受注が減ったのは営業が弱いからだ」——本当にそうでしょうか。 減ったのは引き合いの数か、成約率か。 そもそも市場が縮んでいないか。既存客が離れていないか。キーマンが辞めていないか。

ここで前提が崩れないと、どれだけ下の段を丁寧にやっても最初の結論に戻ってきます。 だからこの段を最も具体的に、鋭く出します。確かめていなかったことが3〜6個、名指しで並びます。

第6段:1つの結論ではなく、地図を出す

売上は「客数 × 単価 × 頻度」に分解できます。ならば打ち手も分解できます。 営業強化のほかに、提携、価格、粗利率、チャネル、リピート、人事、工程改善——。

5〜8個をそれぞれ「なぜ効きそうか/成り立つ条件は何か」付きで横並びにします。 会議で消えた選択肢を、比較できる形に戻すのがこの段の仕事です。

05必ず「どこで決めるか」を返す

思考の道具のほとんどは「もっと深く考えよう」で終わります。 それでは会議は進みません。この道具は必ず着地させます。

第7段まで登れ、とは言いません。急ぐなら第2段で即決してよい場面もあります。 「今回のこの課題は、第4段で前提を確かめてから決めれば十分」——そういう形で、 段を1つ選び、理由を添えて返します。

そして「今は深追いしなくてよいこと」も書きます。 やらなくていいことが決まらないと、結局なにも決まらないからです。

06使い方

  1. 材料を入れる 業種と規模をボタンで選び、会社のホームページのURLを貼ります(中身を読んで材料にします)。 課題は、相手が言ったそのままの言葉で。短くまとめないほうが鋭くなります。
  2. 待つ(およそ80秒) 下の段から順に点いていきます。黙って固まる時間はありません。
  3. 第4段と第6段を会議で開く 「この前提、確かめてましたっけ」「この中で、まだ比べていない手はどれですか」。 この2つを聞くための材料が揃っています。
  4. 宿題を渡す 第4段で出た「まだ確かめていない前提」を、そのまま相手への宿題として渡せます。
  5. 答えを入れて、もう一度回す 2巡目は、答えた前提をもう疑いません。事実として扱って、一段先へ進みます。

072巡目で何が変わるか

ここがこの道具のいちばん大事なところです。1巡目だけでは、たいてい 「まず前提を確かめなさい」で止まります。材料がないのだから当然です。 前提に答えが入った瞬間、話の階層が変わります。

課題
幹部が保守的で、業務改革が進まない
1巡目
「保守的」の根拠は何か/評価や報酬の仕組みが現状維持を有利にしていないか/改革の中身は実行可能か ……前提が6個
↓ このうち3つだけ答えを入れて、もう一度回す
2巡目
「保守的」の実態は評価制度の構造的な欠陥だと確認できた。人物論から制度論へ軸が移った。

「あの部長が保守的だ」には打ち手がありません。人の性格は変えられないからです。 「評価制度が改革を罰している」には打ち手があります。制度は直せるからです。 同じ課題のまま、手の出る場所まで降ろす——それが2巡目の値打ちです。

08渡せる形になる

分析はPDFのレポートとして書き出せます。表紙に宛名と差出人が入り、 結論を先頭に、第1段から第7段までが並びます。 末尾には「確認したいこと」——つまり宿題が付きます。 読んで終わりの紙にしないためです。

スマートフォンなら、印刷の画面からそのままLINEで送れます。

09正直なところ

材料を入れないと、一般論しか返りません。 社名だけを入れると、同じ名前の別の会社のつもりで書いてしまうことすらあります。 業種・規模・ホームページのURL。この3つだけで、答えは別物になります。

その場で即答する道具でもありません。1回およそ80秒かかります。 会議の最中に開いて、待っている間に段が点いていくのを一緒に見る—— そういう使い方を想定しています。

そして、決めるのは人です。 この道具が出すのは選択肢と、それを比べるための材料だけです。 どれを採るかは、会社のことを知っている人にしか決められません。

思考の7段階を使う

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